心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしていますが、電気刺激で動いています。
心電図は、心臓の電気的活動を図示したものなので、これを理解するためには
- 心臓がどのような形をしているか(構造)
- 正常では電気が心臓の中をどのように流れるか(刺激伝導系)
正常では電気が心臓の中をどのように流れるか(刺激伝導系)
といった、心臓の解剖を知っておくことがとても重要になります。
このページでは、主に上記2点について解説していきます。
心臓の構造
上図は心臓の構造を模試的に示したものです。
血管・部屋・弁の名前が色々書いてありますが、モニター心電図で不整脈の評価をする上では
心房(補助ポンプ)・心室(メインポンプ)とも左右に1つずつ存在する
ということだけ頭の片隅においておけば十分です。
詳しくは、心不全や12誘導心電図の勉強をするときにお話します。
刺激伝導系
心臓は主に筋肉でできており(心筋)、電気刺激で収縮します。
心臓全体に速やかに電気刺激を伝えるために、心臓の中に上記の様な電線があるとイメージしてください。
正常なリズム(洞調律)では、電気は発電所に相当する洞結節から始まり
洞結節→(心房全体)→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維→(心室全体)
という順で心臓全体に広がっていきます。
難しい用語が出てきましたが、まずは洞結節と房室結節の2つだけおさえておけばokです。
刺激伝導系以外の心筋細胞も電気を伝えることができますが、刺激伝導系は他の心筋細胞に比べて電気を伝える速度が速いため、心筋全体に速やかに電気を伝えることができます。
モニター判読ではP波とQRS波をおさえよう!
電気刺激により心筋が収縮することを”興奮”と言います。
心筋が興奮すると心電図では波形が記録されます。
波は主にP波、QRS波、T波の3つからなり、それぞれの波が表しているものは
- P波:心房興奮
- QRS波:心室興奮
- T波:心室興奮が冷めるとき (←不整脈診断には重要でない)
となっています。
不整脈診断においては、心房と心室が正しく協調して動いているかが大切になりますので、モニター心電図評価(不整脈診断)においてはとくに、心房興奮を表すP波と心室興奮を表すQRS波が重要になります。
T波は虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や心筋症などの診断には重要ですが、不整脈診断には重要ではないので最初は無視してしまいましょう。
心電図上の時間を知る
通常、紙送りのスピードは1秒間に25mm(5mmのます5つ分)です。
25mmは1秒なので、
5mmは1秒÷5=0.2秒
1mmは1秒÷25=0.04秒
となります。