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モニター心電図の読み方 第2章 〜判読ステップと正常洞調律〜

2022 10/07
心電図
2020年12月9日 2022年10月7日
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前回は、

  • 心臓の解剖(構造・刺激伝導系)
  • 正常洞調律での電気の広がり方
  • モニター判読ではP波とQRS波が重要であること

を解説しました。

今回はモニター心電図を判読する上で、どのような手順で波形をみていけばよいのか解説します。

目次

RR間隔が乱れる原因

みなさんが普段モニター心電図を観察する際には、QRS波に注目して

心拍数は遅過ぎないし、速すぎないし、乱れてないから大丈夫!

と判断していることが多いと思います。

その感覚は概ね正しく、

  • 心拍数が正常範囲(50〜100回/分)
  • RR間隔が整(心拍が規則正しい)

であれば大きく問題になる可能性は低いです。

RR間隔が乱れている場合は心室興奮のタイミングが不規則ということになりますが、その原因は

  1. 洞結節からの刺激が不規則なのか
  2. 房室結節の伝導障害によるものか
  3. いつもと異なるタイミングで横槍が入るからなのか

に大別されます。

評価するポイント4つとその意味

今回は、上記を評価するための手順をお話します。

前回までに学んだことを踏まえて

  1. P波があるか
  2. P波とQRS波の関係性(QRS波の前にP波が規則正しく存在するか)
  3. PP間隔・RR間隔はどうなっているか
  4. QRS幅が広いか狭いか

を確認してリズムを深く読んでいきましょう。

これらはこの順番の通りに確認する必要はありません。不整脈の種類によっては確認できない項目もあります。

これからいくつか不整脈の名前が出てきますが、これらは次回以降詳しく解説します。

1. P波があるか

P波は心房興奮を表すのでしたね。

P波があるかどうかは心房が興奮しているかどうかを表します。

また、この際にP波の形にも注目しましょう。

普段と違う形のP波が存在するとき、そのP波は洞結節以外の場所から出た刺激で興奮している可能性があります。

異常所見の具体例

  1. 洞停止:発電所に相当する洞結節の機能が停止し、P波が消失している
  2. 上室性期外収縮:洞結節以外からの刺激で心房が興奮している
  3. 心房細動:P波が認められず、基線が不規則に揺れている

2. P波とQRS波の関係性(QRS波の前にP波が規則正しく存在するか)

前述のように、

  • P波は心房興奮
  • QRS波は心室興奮

を表すので、“PとQRSの関係性”を見ることは心房と心室の間にある“房室結節の伝導能”を見ていることになります。

通常QRS波の前にはP波が規則正しく存在し、PQ間隔は200msec未満(大きな1マス分)です。

異常所見の具体例

  • 完全房室ブロック:P波とQRS波に関連がなくがお互い独立している
  • 1度房室ブロック:PQ間隔が(200msec以上に)延長しているが、QRS波の脱落はない

3. PP間隔・RR間隔はどうなっているか

RR間隔は真っ先に目につく項目ですが、上記1. 2.のステップを踏まえて見直すことで、不整脈判読の精度を高めることができるので、ここで改めて確認しましょう。

また、あわせてPP間隔も見てください。

通常PP間隔とRR間隔は一致しますが、心房興奮頻度が高い場合や房室結節伝導能が低下している場合などは一致しなくなります(すべての心房興奮を心室に伝えられなくなるため)。

なお、心房細動などP波が認められない場合はPP間隔の確認はできません。

異常所見の具体例

  • 心房細動:P波が認められず、QRS波が不規則に出現している
  • 2度房室ブロック:房室伝導障害によりQRS波が脱落することがある
  • 上室性・心室性期外収縮:いつもと異なるタイミングで”横やり”が入ることで収縮が不規則になる(脈が飛ぶ)

4. QRS幅が広いか狭いか

心電図の横軸は時間を表しますから、QRS幅は心室全体に電気刺激が伝わるまでの時間がどれだけかかっているかを表しています。

つまり、

  • QRS幅が狭い場合は、心室全体に速やかに電気刺激が伝わっている
  • QRS幅が広い場合は、心室全体に電気刺激が伝わるのに時間がかかっている

ということになります。

また、前項で刺激伝導系について説明しました。

刺激伝導系は他の心筋細胞に比べて電気を伝える速度が速いため、心筋全体に速やかに電気を伝えることができるのでしたね。

そのため、QRS幅が狭い場合は、正常な刺激伝導系(房室結節以下)を介して心室全体に電気が伝わっていると考えられます。

逆にQRS幅が狭い場合は、刺激伝導系以外の場所から電気が発生している、刺激伝導系の機能が低下している、ということを考えます。

以上をまとめると、以下のようになります。

QRS幅が狭い場合

  • そのQRS波は心房由来の刺激が房室結節を下る

QRS幅が広い場合

  • 心室起原(心室内の刺激伝導系以外のところから電気が発生している)
  • 心房由来だが、刺激伝導系の機能低下(右脚ブロック・左脚ブロックなど)

QRS幅が広い場合でも上記の理由から必ず心室性とは言えません。
例えば洞調律でも脚ブロックが存在すればQRS幅は広くなります。

異常所見の具体例

  • 心室期外収縮・心室頻拍:心室の刺激伝導系以外の場所から発生した電気で興奮している

正常洞調律での上記4項目

正常洞調律の波形で上記4項目を確認してみましょう。

まず大まかな印象として

  • 心拍数が正常範囲(60〜100回/分)で、
  • 心拍が規則的(RR間隔が整)

です。4項目は

  1. P波はある(心房興奮がある)
  2. P波とQRS波の関係は一定でPR間隔も200msec未満(房室結節伝導能は正常)
  3. PP間隔・RR間隔は整である
  4. QRS幅は狭い(心室内興奮はヒス束以下の刺激伝導系を介して広がっている)

以上から、心臓内の電気の流れは

心房興奮→房室結節→ヒス束以下

という正常な広がりを示していることがわかります。

心電図
モニター 心電図 読み方
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ころくま
循環器専門医
専門研修ののち大学院へ進学。
卒後同大学の教官職を経てドイツ・ベルリンに約2年間留学。
Berufserlaubnis als Arzt(ベルリンでの医師としての就労許可証≒医師免許)を取得しカテーテル治療・臨床研究に従事。
帰国後は地域の中核病院に勤務しています。
座右の銘は
・臨機応変
・とりあえずやってみる
・何事も経験
Youtubeはこちら
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