今回は房室ブロックについて解説します。
房室ブロックは障害の程度により以下のように分類されます
第2章で説明したように、心電図にて房室伝導を表す部位はPQ間隔でした。
PQ間隔に注目しつつ具体例をみていきましょう。
1度房室ブロック

- 規則正しいP波がある
- PQ間隔は一定だが延長している(200msec以上)
- QRS波の脱落はない

洞調律と異なる点は、PQ時間の延長のみです。
房室伝導が遅延しているためPQ間隔が延長していますが、P波の後には必ずQRS波が追従しており、心房興奮は1:1で心室に伝わっています。
ウェンケバッハ型2度房室ブロック(Wenchebach型、Mobitz 1型)

- PQ間隔が徐々に延長して、QRS波が1拍脱落
- 連続して脱落することはない

徐々に伸びるPQ間隔を一つずつ見るよりも、QRS波が脱落した前後でPQ間隔が変わっていることを見るほうが診断しやすいです。
基本的に経過観察可能です。
モビッツ型2度房室ブロック(Mobitz 2型)

- PQ間隔の延長を伴わず、突然QRS波が1拍脱落
- 連続して脱落することはない

緊急度は比較的高く、ペースメーカーを要することが多いです。
実際の心電図は見つかり次第upします。
高度房室ブロック


- 2:1で脱落(そのためウェンケバッハかモビッツか判定できない)
もしくは
- 2拍以上続けて、QRS波が脱落

房室伝導が非常に不安定な状態です。
緊急対応を要し、ペースメーカー適応となります。
3度房室ブロック(完全房室ブロック)

- 規則正しいP波がある
- RR間隔は整、PP間隔も整だが、それぞれの間隔が異なる
- そのため、心電図上PQ間隔はバラバラになっている

RR間隔もPP間隔も整であるにも関わらず間隔が異なるということは、それぞれが独立しているということを意味します。
このQRS波は心室からの補充調律ですが、不安定で出現しなくなる可能性があるため、ペースメーカーの適応です。
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